第25章 ベルフラワー scene2
地下駐車場まで行くと、人目に付かないところで俺を抱きしめた。
「潤…ごめん…苦しかったろ?」
ぎゅっと抱きしめる腕は痛いほどで。
俺はなにも言えなかった。
「ごめんな…翔くんに脅されてたんだな…?」
それでも。
俺の心は枯れた。
なにも考えられなかった。
「俺、大丈夫だから。もう潤に守ってもらわなくても大丈夫だから…」
俺は大野さんに触れて貰える資格ない。
大野さんを悲しませてしまった。
「潤…泣いてもいいんだよ?」
そう言われて、気づいた。
涙が枯れ果てていることに。
「大野さん…」
「ん…?」
「大野さんっ…」
名前を呼ぶと、感覚が戻ってきたような気がした。
大野さんに触れられているところから、熱が蘇った。
「さとしっ…」
力いっぱい名前を呼んだ。
「潤…」
大野さんは俺の名前を呼ぶと、俺にキスをくれた。
それは長い長いキスで。
ずっとずっと俺の中に眠ってた快感を引きずり出すキスで。
「もっと…欲しい…」
そういうと、俺は大野さんにくらいついた。
大野さんはそれを受け止めてくれた。