第25章 ベルフラワー scene2
俺は大野さんを守ろうと決意した。
絶対に翔さんに近寄らせない。
指一本も触れさせない。
…その為に。
俺は翔さんの腕の中にいた。
翔さんは眠っていた。
俺のなかに出しきって、満足して眠ってしまった。
あの時、大野さんに触れられたくなかったら、抱かせろと言われた。
俺はそれを飲んだ。
これしか方法がなかった。
気怠い身体を起こそうとすると、腕を引っ張られて引き寄せられた。
翔さんの胸に崩れ落ちると、翔さんは俺をまた貪った。
全然気持よくなかった。
心が枯れていくようだった。
でも俺は大野さんを守れているということだけで、なんとか気持ちを支えることができた。
翔さんの家から帰るとき、3日後にまたこいと言われた。
俺は頷くしかなかった。
呼び出しはどんどん頻繁になって。
大野さんと会う回数がどんどん減っていった。
大野さんはどう思っているだろう。
わからなかった。
俺と居るとき、大野さんはじっと俺をみつめて、微笑んでる。
その微笑みだけが、俺の救いだった。
この微笑みを守れるなら。
俺はどんなことだってできると思った。