第25章 ベルフラワー scene2
次のレギュラーの収録には行きたくなかった。
でもいかないと…
重い足を引きずるようにして楽屋へ向かう。
横を歩いていた大野さんが、じっと俺をみていた。
目が合うと、俺の手を握った。
「え…だ、だめだよ…」
「いいから」
そういうとそのまま楽屋のドアを開けた。
「おはよ…」
小さな声で大野さんが言った。
皆が振り返る。
「あらあら、今日はお熱いことで」
ニノがからかう口調で言ってきた。
「おまえ、からかっちゃだめだろ」
翔さんがおどけたように言った。
…あの人には、なんにもメッセージは伝わらない。
「恋人なんだからさ、ねえ。大野さん…」
わざと挑戦的な目を向けてきた。
大野さんはそれを全てスルーして、俺の手を引いてソファーに座った。
「潤、なんか飲む?」
そういうと、家にいるときの大野さんみたいに笑った。
俺が頷くと、コーヒーを持ってきてくれた。
座ったらまた手を絡ませて俺の横に座った。
翔さんはそれをじっとみていた。
顔は笑顔のままだった。