第23章 レイヴンscene1
潤が俺の家に引っ越してきた。
向こうの家は残しておくことにはなっているが、生活の中心は俺の家に移すことになる。
これで晴れて、同棲開始となった。
決まってからの潤は、本当に幸せそうで。
俺もその姿を見て、また幸せになる。
荷物を片付け終えた背中に、そっと忍び寄る。
がばっと抱きしめると、びっくりして振り返った。
「潤…ようこそ、我が家へ…」
「そういうこと言うと、名無しさんくるよ…?」
二人で笑った。
抱きしめたまま、聞いてみる。
「ねえ。潤はいつから俺のことすきなの?付き合ってから?」
「えー…恥ずかしいから言いたくない…」
「なんでさ」
「だって雅紀だって言ってないじゃん。なんで好きになったかって」
「俺は知らないうちに好きになってたんだもん」
「俺だってそうだよ。お互い様だね…」
そう言って軽くいなされてしまった。
「すきだなって思ったの、台湾の時だよ?」
「えっ?」
潤が驚く。
「わかんないけど、潤が傍にいることが気持ちよくて。安心できて…」
「そんなに前からなの…?」
「潤にばれないようにしてたからね」
そう言って笑ってやった。
もう恥ずかしいから言わない。