第23章 レイヴンscene1
そのまま震える身体を俺にぶつけてきた。
俺の胸で翔は泣いた。
これほど思いつめていたなんて…
俺はそっと翔を抱きしめた。
身体がびくっと強ばった。
それでも抱きしめた。
ぎゅっと。
翔が身体を外した。
俺を見上げると、震える手で俺の顔を包んだ。
そのまま俺にキスをした。
唇が熱かった。
それから俺は、翔の肩を抱いていた。
翔が落ち着くまで。
完全に拒絶することができなかった。
あんなに一途な姿を見せられたら、拒めなかった。
その後、家に帰ったらメッセージが来た。
『今日はごめん』
短い文章だった。
それから俺達のメッセージ交換が始まった。
ひと月後、翔からホテルへの誘いがあった。
俺は断ることができなかった。
それから月に一回、俺達は身体を重ねるようになった。
ドラマの撮影中もそれは続いた。
俺はどんどん深みに嵌っていった。
どうすることもできなかった。
身体を重ねるごとに翔を好きになっていったから。
忘れられなくなったから。
俺の秘密は毎日膨れ上がっていった。