第23章 レイヴンscene1
「綺麗な身体してるな…潤は」
「雅紀だって、綺麗だよ」
そういって俺のバスローブを取ってしまう。
「ほら。綺麗な肌」
そういって俺の胸を指が辿る。
「大好きだよ…雅紀…」
そう言って切ない顔をした。
「どうしたの?潤…」
「ううん…どこにも…行かないでね?雅紀…」
「えっ…?」
「最近、時々遠く見てる…」
「そんな…そんなわけないよ?」
俺は潤を掻き抱いた。
「どこにも行かないよ?潤…」
必死だった。
俺は潤を手放すつもりなんてない。
潤の代わりに翔と付き合う気もない。
なのになんで。
なんで背徳の味はあんなに甘いんだろう。
どちらも手に入れたいなんて、ただのワガママだ。
わかってる。
わかってるのに。
「ごめんね。最近、仕事のことばかり考えちゃって…」
「…雅紀レギュラー多いもんね。ほんと、頑張ってるよね…仕方ないよ…」
「ごめん…潤…好きだよ…」
そう言ってキスをする。
苦い味がした。
潤はなにも悪くないのに。
俺が悪いのに。