第23章 レイヴンscene1
レギュラーの収録日、潤と一緒に楽屋に入った。
嵐の中では俺たちの仲は公認だから、みんななんの反応もない。
ソファーに座って、今日の進行表を潤と一緒に確認する。
頭を突き合わせて一枚の紙を見る。
髪の毛が触れ合うと、潤が俺の顔をみて微笑んだ。
俺も微笑む。
小さな声で潤に囁く。
「今日もかわいいよ」
途端に真っ赤になるから面白い。
皆に隠れてそっと手を握った。
メンバー全員が揃って、チーフマネから連絡事項が言い渡される。
その間、俺は楽屋の鏡前で新聞を読んでいた。
翔が俺のすぐ後ろに立った。
何をしてるんだろうと思ったら、俺の肩に手をおいた。
まずい。
何をしてるんだ。
皆にみつかる。
そう思って少し身体を捩った。
それでも翔の手が離れないから、立ちあがった。
断ち切るようにその場を離れる。
こんなこと今まで一回もなかったのに。
…一回だけあった。
あの日だ。
初めてひとつになった日。
翔を窺い見ると、こちらを見ていた。
その瞳は深海のように深く、澄んでいた。