第23章 レイヴンscene1
深夜、自宅に帰る。
エンジンを止めるとスマホを取り出す。
『身体、大丈夫?』
そうメッセージを送る。
『大丈夫。筋肉痛だけ』
それをみて、少し笑う。
スマホをポケットに入れて部屋へ帰った。
リビングに入ると、潤がうたた寝してた。
そっと毛布をかけてやる。
髪をなでる。
いつの間にこんなに明るい茶色にしたんだ。
黒のほうが好きだったのに。
しっとりとした黒色。
そのほうが潤に似合うのに。
潤が急に目を覚ました。
その黒々とした目に惹き込まれる。
「ただいま…潤」
そう小さく囁くと、潤はすごく幸せそうな顔をして微笑む。
「おかえり。まーくん…」
幸せだった。
潤が幸せな顔をするから。
キスをするともっと幸せな顔をする。
かわいい。
俺は潤を抱きしめると、抱え上げて寝室へ連れて行った。
潤を寝かしつけると、またスマホを取り出した。
メッセージが入っていた。
『すき』
たった一言。
俺はまた泥沼に引き戻された。
今すぐ翔に会いたかった。
ぐっと拳を握って耐えた。
潤を後ろから抱きしめると、なにもかも霧散していくようだった。