第21章 ラズベリーscene3
「翔ちゃんが俺の家に来てくれた時、靴を揃えたり、座布団から降りて挨拶をしてくれたからだよ?」
「え?」
「きちんと俺のこと好きだって、親に伝わったからだよ。だから手を貸してくれたんだよ?」
「智くん…」
「だから翔ちゃんのお母さんを説得したんだよ…うちの親が」
智くんが俺の身体をぎゅっと抱きしめた。
「かあちゃんと、翔ちゃんのお母さん、メル友なんだって」
「え?」
初耳だった。
「だから、話がしやすかったみたいだよ」
そういうと、少し笑った。
「翔ちゃんのお母さん、この前うちに来たんだって」
「え?」
「うちの翔をよろしくお願いしますって。挨拶にきたんだって…」
「母さんが…」
「うん。これで一歩前進したね」
嬉しそうに笑う。
「うん…そうだね…ありがとう…」
「ゆっくり…やっていこう…翔…」
「うん…」
俺を抱きしめる智くんの体温が心地よかった。
俺が顔を上げると、智くんはキスをしてくれた。
キスが欲しかったからびっくりした。
唇が離れると、智くんがにこっと笑った。
このままもっと…