第21章 ラズベリーscene3
泣きそうになった。
まさか、自分の家族が智くんとのことを受け入れてくれるなんて思ってもなかった。
父さんは、そういうことは絶対に受け入れないと思う。
それはわかっていた。
だから家族もそうだと思い込んでいた。
「ごめん、母さん…」
それだけいうので精一杯だった。
点滴が終わって実家に戻った時にはもう深夜になってて。
そのまま俺は自分の部屋のベッドに倒れ込んだ。
スマホをみると智くんからメールが入っていた。
『翔、心配しないで。俺が全部やるから』
短いメッセージだった。
でも伝わった。
すべて任せていいと思った。
『ありがとう。全て任せます』
それだけ打った。
安心した。
そのままベッドにのめり込むように眠った。
なにも心配しないで。
目が覚めると違和感があった。
ああ、そうか。
実家か…
智くんの家でもない、俺の家でもない。
久しぶりに泊まった。
リビングに行くと、既にみんな出払っていて、一人だった。
キッチンのテーブルの上には、サンドイッチがあった。
俺の好物。
ありがたく頂いた。
腹が落ち着くと、俺は自宅へ向かった。
これからやらなければいけないことが山積していた。