第21章 ラズベリーscene3
智くんのお父さんの部下の方が迎えに来てくれた。
地下の駐車場から俺を連れ出すと、マンションの玄関から堂々と二人で出た。
ふらふらしている俺を支えてくれながらタクシーを拾うと、そのまま病院へ連れて行ってくれた。
救急へ担ぎ込まれて、点滴を打った。
俺はそこで意識を失った。
目が覚めると、智くんのご両親がいた。
うちの母さんもいた。
「翔…!」
そういうと、母さんは手を握った。
「どうしたの?無理してたの?」
ちょっと涙目になっているのが驚いた。
こんなことしょっちゅうなのに。
「ごめん…わざわざ来てくれたの?」
声がガラガラだった。
「翔…もう…無理するんじゃないわよ…」
そう言って立ちあがった。
「大野さん、本当に今回はすいませんでした…ご迷惑おかけして…」
「いいえ、私達にも大事な人ですから、翔くんは」
智くんのお母さんが言った。
俺の母さんはそこで言葉を飲んだ。
あれ?
「ほんとに、こんな不肖な息子でいいんですか?大野さん…」
「ええ。もうこちらは大歓迎です」
あれ?あれ?
「翔…なんで黙ってたの?大野さんのお嫁さんになるんだって?」
ええええええええええ!?