第21章 ラズベリーscene3
夜はいつも手を繋いで寝る。
布団にくるまって手を繋いでいたら、智くんが俺のことをじーっとみていた。
「なに?」
「最初の頃、こんな距離で寝れなかったよね…」
最初の頃は、キングサイズのベッドの端っこと端っこで寝ていた。
掛け布団も別々で。
今は掛け布団は一枚半。
「今は翔ちゃんの寝顔がよく見える」
そう言って俺の頬を撫でてくれた。
「うん…」
嬉しさを噛み締めた。
「翔ちゃん…好きだよ…」
「智くん…」
「ずっと傍にいてね?」
「うん…」
そういうと、小指を差し出してきた。
俺はその小指に自分の小指をからませた。
「約束だよ」
そういうと、智くんは安心して眠りに落ちていった。
そんなの当たり前じゃん…
俺が心配なのは、あなたがどこか行ってしまうことだよ…?
からませた小指があたたかい。
俺はいつまでも小指を動かすことができなかった。