第21章 ラズベリーscene3
翌朝起きたら、智くんが新聞を読んでた。
「え…?」
俺は絶句した。
未だかつてみたことのない光景だった。
「な、なんだよ…俺が新聞読んだらいけない?」
「いや、いけなくないけど…」
俺は言葉を継げなくなる。
でもその新聞を読んでいる姿はかっこよくて。
思わず見惚れてしまう。
じっと見てると、智くんが新聞を置いて立ちあがった。
そして怒ったようにこっちに来ると、俺に乱暴にキスをした。
「そんな目で見るな…勃っちゃったでしょ…」
どんな目で見たのかな…
俺はわからなかった。
「ご、ごめん?そんなつもりなかったんだけど…」
「ばか…」
そういうと俺を抱きしめた。
俺の為に成長しようとしてくれてる。
嬉しい。
だから俺も勇気を持って立ち向かうよ。
ありがとう。
俺もぎゅっと智くんに抱きついた。
その日もオフで、俺は夕方実家に帰った。
智くんには取材だって嘘を言ってある。
何も今日対決する気はない。
ただ、父さんのことを確かめようと思って。
家に入ると、母さんが帰ってきていた。
夕飯の準備をしているらしい。