第21章 ラズベリーscene3
もう何回果てたかわからないほど、俺達は身体を重ねた。
ずっと何かを確認するように。
ベッドに二人で沈み込んだ。
身体もシーツもベトベトで。
でも心はとても満たされていて。
手を握って二人で天井をみていた。
「翔…」
「智くん…」
見つめ合った。
「俺、がんばるから」
「え?」
「翔にふさわしい男になれるように」
「そんな…」
「誰にも文句いわせないくらい、俺が立派になればいいんだ…」
「智くん…充分だよ?」
「もっとね、もっとだよ。翔」
「そんなこと、思わなくていいのに…」
「え?」
「今のままの智くんが一番素敵だよ」
「…それってさ、惚れた欲目ってやつじゃない…?」
「ぷっ…違うよ…本当にそう思うよ?だから俺、惚れたんだよ?」
惚れたという言葉に智くんは真っ赤になった。
「お、俺はどんな翔でも、惚れてるよ?」
もごもご言って、俺に背を向けた。
わかってるよ。
ありがとう。
俺は背中を包んでぎゅっと後ろから抱きしめた。
この小さな背中に、これ以上なにもプレッシャーを載せたくない。
俺は、家族と戦う決心をした。
俺が逃げてたら、この人を傷つけることになる。