第21章 ラズベリーscene3
智くんも座布団をどけて、俺と一緒に床に手をついて頭を下げた。
お父さんがまたごほんと咳をした。
「…わかったから、二人共頭をあげなさい…」
俺たちは顔をあげた。
「認めるから。さ、座布団を直して」
俺と智くんは目を合わすと、微笑んだ。
座布団を直すと、座り直した。
「うちはいいんだけど…」
お母さんが言った。
「翔くんのお家は、どうなの?」
「うちは…」
「それはまた追々やってくから」
智くんがきっぱりと言い切った。
「俺は、…俺たちは乗り越えてみせるから」
そういうと、お父さんとお母さんは頷いた。
「わかった。智、がんばれよ」
そういうと名刺入れを出して、一枚俺にくれた。
「何かあったらそこに電話しなさい」
「…ありがとうございます…」
「お父さん、最近なにか言ってなかったかね?」
「あ、いえ…最近は会ってないので…」
「そうか…近々、大きな発表があるかもしれない」
「え?そうなんですか?」
「いや、噂を聞いただけなんだがね…」
そういうと顎を撫でた。
「うちは君を家族として迎えるから。いつでも遊びにきなさい」
そう言ってにっこり笑ってくれた。