第21章 ラズベリーscene3
「智、話はわかった。櫻井くん、いいのかね?」
「はい?」
「うちの智はこの通りの男だ。こんなヤツでいいのかい?」
「はい…この人しかいないと思っています」
智くんがきちんと紹介してくれたんだから、俺も頑張らないといけないと思った。
「俺にとっては、世界で一番魅力的な人です」
「さ、櫻井くん…ちょっと恥ずかしい…」
何故かお父さんが照れ出した。
「ふふ…ごちそうさま。櫻井くん」
お母さんまで茶化す。
真剣なんだけどな…
「もう、とうちゃんもかあちゃんも真剣に聞いてよ!」
智くんが怒り始めた。
「俺は、もうこの人しかいないと思ったから、ちゃんと挨拶にきたんだよ?なんで真剣に聞かないの!」
「ご、ごめん智…」
お父さんが速攻で謝った。
なんか可愛い人だな…智くんのお父さんなんだから似てて当たり前なのかな。
「俺、ゲイとかそういう類の人間じゃないんです…」
突然、俺の口をついて出たセリフに自分でびっくりした。
視線が俺に集まる。
「智くんだから、こうなったんです。智くんしかいないと思っているんです。これは一生変わらないと思っています」
俺はまた座布団を身体から離した。
床に手をついた。
「だから、俺と智くんのこと、お許し願えないでしょうか?」
そう言って、頭を下げた。