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カラフルⅠ【気象系BL小説】

第21章 ラズベリーscene3


大福を割ってみると、茶色の餡の中に緑色の餡も入っていた。


「これね、ずんだ餡なの。仙台の喜久福っていうところの大福なの」


「あ、お父さんのご出身の…」


「あら、よく知ってるわね。智、言ったの?」


「え?俺、言ったっけ?」


言えない…インターネットで調べたって言えない…。


「む、昔、言ってたじゃん!」


そう言ってごまかしておいた。


「そうだっけ?それにしても、よく覚えてたね。さすがだよ」


また智くんは偉そうな顔をした。


「俺のおくさ…」


「んにゃぁぁぁ!!」


俺は慌てて智くんの口を塞いだ。


「ぶっ…」


お母さんが吹き出した。


「翔くん…もう、わかってる事だから、気にしないのよ?」


笑いをこらえながら言われた。


「は、はい…」


本当に居たたまれない…


下を向いていると、開いていたふすまから人が入ってきた。


「こんにちは。櫻井くん」


入ってきたのは、お父さんだった。


「あっ…お久しぶりです」


座布団を身体の下からどけて、床に手をついて挨拶した。


顔を上げると、みんながポカーンとしてこちらを見ていた。


「え?…なにか?」


「あ、いや…敷物を直してください…」


お父さんはそう言ってくれた。


俺は座布団を直して座り直した。

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