第21章 ラズベリーscene3
「翔ちゃん、そんな緊張することないよ?」
「でっでも…智くんのお母さんだし…」
「大丈夫だって。全然気にしないから」
そりゃ、あなたのお母さんだろうけどさ…
俺のお母さんじゃないし…
しかも、『俺の奥さん』とか言っちゃってるし…
もう、どうしたらいいんだよ俺…
もじもじしていると、智くんが俺の頬にキスしてきた。
「翔、大丈夫だから…」
小さな声で、安心するように囁いてくれた。
智くんの顔を見ると、にっこり笑ってくれた。
「キスして…?」
俺は思わずそう言ってしまった。
「翔のスケベ…」
そう言うと、俺に顔を近づけてきた。
唇が触れ合おうという、その瞬間、ふすまがスパーンと開いた。
「こら」
そういうと、お母さんがお茶を手に入ってきた。
「そういうことはお家帰ってからしなさい」
「す、すいませんっ…」
なぜだか俺一人が謝った。
智くんは知らん顔した。
こいつ…
「これ、お口に合うかしら」
そう言ってお母さんがだしてくれたのは、大福餅。
あんこ好きなんだな…。