第3章 きみどりscene2
風呂に入ると、お互いに身体を洗い合った。
言葉はもうなくて、微笑みだけで会話した。
丁寧にかずの頭を洗った。
そしたら、かずも俺の頭を優しく洗ってくれた。
かずの身体を洗えば、かずも俺の身体を洗ってくれた。
お互いに優しく、壊れ物を触るように触れ合った。
そこに触った時、かずの身体が揺れた。
泡でなるべくやさしく、そこに触れた。
きゅっとなにかを我慢するようにかずの身体が固くなった。
でも、もう進むしかなかった。
丁寧に、丁寧にそこを触った。
シャワーで泡を洗い流して、風呂を出る。
タオルでお互いを拭きあって、バスローブをはおると、髪を乾かす。
これから情事を行うなんて、思えないほどゆったりと時間は流れた。
髪を乾かし終わると、俺はかずの手をひいて、寝室へ向かった。
かずをベッドに寝かすと、リビングに行ってローションとコンドームを取ってきた。
寝室に戻ると、かずが仰向けでベッドに寝ていた。
サイドボードに物を置くと、俺もその横に仰向けになった。
横を向くと、かずと目があった。
どちらからともなく、笑いあった。
お互いに泣きそうな顔で笑っていた。
手を伸ばしてかずの顔に触れる。
かずも手を伸ばして俺の顔に触れる。
頬の感触を楽しむ。
かずの指が俺の口に触れる。
その指が、俺の口の中に入り唾液を絡めとると、唇を這う。
うっすらと快感の波が訪れる。
俺の中にいる、もう一人の俺が早くかずを食べたいと訴える。
「かず、おいで」
俺はそういうと、両手を広げた。
かずは無言で、俺の胸に飛び込む。
髪を撫でて、そのままその手を首筋に滑らす。
首筋を撫でながら、かずの薄い唇に、キスをする。
すぐにお互いの身体が熱くなるのがわかった。
唇を触れ合っているだけなのに、血が泡だってしょうがない。
ちゅっちゅっと音を立てながら、唇全部にキスをする。
首筋を這う手は、昨日かずか気持ちいいと言ったところをなぞる。
「あっふ…う…さと、し…」
キスの合間に、かずが俺の名前を呼ぶ。
「…かず…好きだよ…」
俺もまた、名前を呼ぶ。
とても、とても幸せだ。