第20章 ポンパドールscene1
俺は大野さんの手をとった。
「この手から創りだされるアートが全部すき」
そういって、指を一本一本舐めた。
ちょっと大野さんの身体が震えた。
そして、唇に触った。
「この口から出てくる歌が全部すき…」
そういうと、唇を人差し指でなぞった。
「この口から出てくる喘ぎ声が全部好き」
ちょっと口の中に指を入れる。
大野さんはなすがままになって、俺を見つめている。
その目はまっすぐで。
とても綺麗で。
「だめだ…全部すきしかでてこないや…」
そう言って抱きしめた。
大野さんは俺を抱きしめ返してくれた。
「ありがとう…潤」
そう言うと、俺の顔を覗きこんだ。
顔を近づけると、唇から舌が出てきて俺を誘う。
「もう?大野さん、大丈夫?」
むふと大野さんは笑う。
「大丈夫だよ?愛されてるからね」
小悪魔…
俺はその誘いを断ることができなかった。
翌日もオフだったので、二人でずっと部屋にいた。
なにをするわけでもなく、ずっとふたりでだらだらしてた。
ずっと着替えもしないでパジャマで過ごした。
気が向いたらキスをして。
気が向いたらごはんを食べて。
とても怠惰な生活に俺たちは溺れた。