第3章 きみどりscene2
「ん…わかった…」
俯いて、俺の背中におでこをつける。
「おかあさんに、ありがとうって言っといて」
「うん。わかった」
しばらくそのままで。
背中に伝わるかずのぬくもりを楽しむ。
「ごはん、食べよっか?」
「あのね」
「ん?」
「使い方、教えてあげる」
「え?」
「ローションの使い方」
「えっ!?」
急に何を言い出すんだ。
全身から、変な汗が吹き出す。
「や、いいよ。かず。あの、映画の撮影終わってからにしよ?な?」
「嫌」
「かず…身体、本調子じゃないのに、無理したらだめだよ?プロだろ?」
「今は!」
「え?」
「今は、オフで。俺は、大野さんの恋人で。一緒に気持ちよくなりたいって思っちゃいけないの?」
「い…いけなく…ない…かな…」
だめだ、俺。弱い…。
かずは俺の正面にまわり、俺の手をとった。
「大野さんも個展の作品つくらなきゃいけないのに、俺にかまけてばかりじゃん。それはいいの?」
「い、いや…それは…」
言い訳をしようとしたら、いきなりかずが俺の指を咥えた。
「あふん…」
変な声が出た。
「やっぱり。気持ちいイイんだね」
俺の指を咥えながら、かずが妖艶に微笑む。
指の刺激と、その誘いこむ微笑みに頭がクラクラしてくる。
中指を咥えると、ゆっくりと上下に舐め始める。
「気持ち、イイ?」
声がでなくて、何回も頷く。
ふふっとかずが笑う。
俺は段々と深みに落ちていく。