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カラフルⅠ【気象系BL小説】

第3章 きみどりscene2


部屋に戻ると、玄関先にかずが膝を抱えてうずくまっていた。

「ただいま」

そういうと、かずが飛びついてきた。

「おかえり」

ちょっと離れていただけなのに、そのうずくまっていた姿はとても寂しそうで。

「どうした?俺どこにもいかないよ?」

「うん。わかってる」

しばらくその姿勢のまま、かずが満足するまで待つ。

「おかあさん、なんだって?」

「うん?あ、そうだ」

身体を離すと、紙袋を差し出す。

「これね、かあちゃんがかずにって」

「え?俺に?」

「ここじゃなんだから、部屋いこ?」

かずの腰を軽く押すと、そのままもたれかかるように一緒に歩き出す。

どうしたんだ。かずも。

なんか今日起きてから急に甘えてくるようになった。

昨日のかずとは、別の人みたいだ。

いや、嬉しいんだけど。

思わずにやけた笑いが起こる。

「何笑ってんの?」

「ん?かず、甘えん坊だねって思って」

「だめ?」

「ううん。全然。もっと甘えて」

そう言うと俺はかずにキスをした。

「もうっ!知らないっ」

真っ赤になったかずは先にリビングに入っていった。



「さ、これ開けてみて」

かずにかあちゃんからの紙袋を差し出す。

「なんだろう。じゃあ…」

そう言って恐る恐る紙袋を開ける。

「んー。なんだろ。あ。」

出てきたのはパジャマ。

なんとも可愛らしい。

白地に赤の大きな水玉模様がはいったパジャマだった。

「ぶはっ……」

こらえきれず吹き出した。

「ちょっ…!大野さん!ちょ!これどういうこと!?」

「し、しらねえ…ぶふう…なんだこれ…」

タグがついていたので見てみると、なんとこれでも紳士ものだった。

「えー…」

絶望的な表情のかずをみて、笑いが我慢できない。

「うひっ…うううう…」

「もう、堪えるくらいなら笑っちゃいなよ……」

今、かずがきているパジャマはふわふわとした丸の模様のはいった真っ白なパジャマ。

これは完全にかあちゃんの趣味。

そして、かずのいま持っているパジャマもかあちゃんの趣味。

自分で着るために買ったものかな。

あんなのとうちゃんに着せるわけないし。

も、だめだ。腹筋崩壊…

「ぐふぅ…‥」
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