第3章 きみどりscene2
そのままかずを抱きしめる。
「大野さん、また飲んじゃったの?」
「うん。おいしかった」
「ばっ…へ、変態…」
「かずのじゃなきゃ飲まないよ」
少し笑って、かずのお腹に顔を埋める。
ぽにょっとして、気持ちいい。
ソファの上で、俺とかずがひとつにかさなってる。
これでいいじゃないか。
今はむりやり一つにならなくても。
もそもそとかずがパジャマのズボンを履く。
俺は身体をあげて、それをみてる。
「さて、次は大野さんの番ね」
「えっ!俺いいよ。かずがもっと調子良くなったらで」
「俺がやりたいんだけど」
ぎろっと睨まれる。
「や、そんな…ヤメロ…」
ぐいぐいとかずが俺のパジャマのズボンを脱がしにかかる。
その時、玄関のチャイムが鳴った。
ふたりでびっくりした。
「えっ!?何!?誰!?」
「わっかんない。モニターみてくる」
時計をみると、朝6時になるところだった。
モニターの画面を恐る恐るオンにする。
そこに写っていたのはかあちゃんだった。
「かあちゃん!」
「えっ!大野さん、なんか約束してたの!?」
「そんなわけないだろ。だってかずがいるんだから」
「お、俺どうしよ」
「かず、大丈夫。うちには入れないから」
「だって。三鷹から来てくれたんだろ?悪いじゃん」
「いいって、勝手に来たんだから」
「そんなわけには…」
そう言ってるかずを、手で制してモニターのマイクを通話にする。
「かあちゃん?どうしたの?」
『あ、智。お弁当もってきたから、ちょっと降りてきて』
「弁当!?」
『そうよ。和くんと食べるのに作ってきたのよ。早くきなさい』
「わかった」
マイクを切る。
「かず、なんか食いもんもってきてくれただけみたいだから、行ってくる」
「わかった。くれぐれもよろしくね」
「おう」
急いで着替えて部屋を出る。
外にでると、5月の外気が少し冷たかった。