第3章 きみどりscene2
「大野さん?」
キッチンの入り口にかずが立っていた。
「かず、起きたの?」
「うん。大野さんいないから目が覚めちゃった」
小首をかしげて微笑むかずは、本当に衝撃的にかわいかった。
「おいで」
俺は抱えていた足をおろし、そこにかずを座らせた。
「寂しくなっちゃったの?かず」
「うん。寂しくなった」
寝ぼけているのか、ずいぶん甘えたことを言ってくれる。
「ふふふ。かわ…好き…かず」
「ん?」
「好き」
そういうと、後ろからぎゅっと抱きしめた。
「タバコちょうだい」
「ん。いいよ」
俺はタバコを一本取り出すと、咥えて火をつけてかずに差し出す。
受け取ると、その背中は美味そうに煙を吸い、吐き出した。
「っか~。久しぶりに吸った…」
「頭、クラクラする?」
「うん。ちょっと」
その声に笑いが含まれていたので安心する。
今は、ちょっとでもかずの体調を回復させたい。
だから余計な負担は掛けたくない。
「吸ったら、戻ろ?」
「ん。でもなんか目が冴えちゃった」
「そっか。顔色いいもん」
「ん?」
「さっき見たら、だいぶ顔色よくなったなって」
「そう?自分じゃわからないや」
すうっとまた煙を吸う。
「ああ、もういいわ」
煙を吐くと、火を消した。
そのまま、立ち上がりこちらを向くとキスした。
「大野さんのタバコきつい」
「そう?いつも自分のなくなったら吸ってるじゃん」
「だって最近変えたでしょ?」
ふわっと笑った。