第17章 ヴィンテージ・ワインscene1
そういうと潤はふらっと立ち上がって、散らかった荷物をごっそりと集めてベッドに落とした。
なにをするものかわからない、みたこともないものばかりだった。
「お前はお前だよ。ダッチワイフでも俺のかあちゃんでもない。だから、いまからかわいがってやるよ」
その言葉には芯がなかった。
誰かに言わされているような響きで。
正気を失ったことがわかった。
「お前はおれの恋人だからな」
空洞のような目をしてた。
ぞっとした。
「潤っ…!」
呼んでみたけどもう、まともな返事は返ってこなかった。
とっさにスマホを握りしめた。
誰か…!
通話ボタンを押す前に、潤にもぎ取られた。
「ふーん…相葉さん…。電話してどうするつもりだったの…?」
答えられない。
どうして欲しいのか自分でもわからなかった。
「俺のこと捨てて、相葉さんと付き合うつもりだったの?」
「そんなわけないだろ…」
虚のような目で俺を見つめる潤には、届かない。
「許さない…」
ロープをピンと張った。
「絶対に許さないからな…」