第17章 ヴィンテージ・ワインscene1
潤が手を伸ばしてきた。
「ごめん…和也…」
もう聞きたくなかった。
俺は急に立っていられなくなって、その場に蹲った。
「早く出てけよぉぉ…!」
そう叫ぶので精一杯だった。
潤との決別にこんなに力を使うことになるとは思わなかった。
いや、それよりもこんなに自分が消耗していたことに驚いた。
「和也…どうしたの?」
潤がこちらに来る。
もう近寄らないで欲しかった。
でも俺の足にはもう力が入らなくて。
「立てないの?」
「早く…出てってよ、潤」
潤は俺の腕をとって、ベッドに俺を投げた。
衝撃で一瞬なにが起こったかわからなかった。
「なにすんだよ!」
「何でわかんねえんだよ!俺は別れる気なんてない!」
「どこまで身勝手なんだよ!俺のこと何も考えてなかったくせに!」
「だからもうやめるから、あいつらと飲みに行くの」
「もう勝手にしろよ!楽しいんだろ?俺と居るよりさ。好きにすればいいよ」
「和也っ…!」
ベッドに押し付けられたと思ったら、潤が強引にキスをしてきた。
「んーっ!!」
唇が離れた瞬間、ツバを吐きかけた。
「俺はお前のダッチワイフでもママでもねぇんだよ…ふざけんな」