第17章 ヴィンテージ・ワインscene1
久しぶりの自宅は、すこし埃っぽかった。
家中の窓を開け放して、空気を入れ替える。
郵便物だけは取りに来ていたんだが、部屋に入るのは久しぶりで。
そういえば、ここにも何度かあいつは遊びに来て。
…でもあの頃は、今とは違った。
なんでこんなことになったんだろう。
なにがいけなかったのか。
今になってはわからない。
考える気力もない。
俺はすべての思考を放棄した。
そのままベッドに入る。
すこし湿っぽいシーツに身を包んで俺は眠りに落ちた。
ガタンっという大きな物音で目が覚めた。
昼の眩しい光が目を刺した。
思わず目を閉じる。
人影が一瞬目の端に写った。
「え…?」
薄く目を開けて見てみると潤がいた。
「な…んで…?」
「鍵のコピー作ったから」
「なんで?勝手にそんな…」
俺はここはほとんど来ることはないから、潤には合鍵は渡していなかった。
潤の家で実質もう何年も住んでいたし。
「和也のカバンから借りて作っておいたんだよ。なにかあったらいけないから…」
もう酒はすっかり抜けたのか、青い顔をしている。
「言ってることメチャメチャなんだけど」