第17章 ヴィンテージ・ワインscene1
「どこが?和也のことなんだから」
「出てってよ…」
「いやだ」
「俺、別れるって言ったよね?」
「俺は認めない」
床をみると、派手に潤が何かを散らかしていた。
「…何しにきたの?」
「なにって、お前に会いにきたんだよ」
「もう別れたんだから、帰ってくれる?」
「そんな話、認めないから」
「潤がどう思おうと、もう俺は決めたから。あの家にも戻らないし」
「……だめだ」
「え?」
「そんなこと、許さない」
そういうと、床から何かを拾い上げてこちらにきた。
手に持っていたのは細いロープで。
嫌な予感がした。
とっさにベッドの反対に降りて、潤と距離を置く。
「逃げても無駄だよ?」
潤の顔はさっきよりも更に青くなってた。
「逃げないから…だから、そんなもの置いて?」
暴走したら止まらないのはよく知ってる。
だからここはゆっくりと言い聞かせるしかない。
「いやだ。和也はうそつきだから」
「なんで?」
「さっき、俺を置いて逃げた」
「潤が追いかけるからだよ?」
「追いかけなきゃ、お前俺を捨てるだろ?」
そう言って、潤は泣きだした。