第16章 ラズベリーscene2
「だからあの時も俺の気持ち、一番にわかってくれて…」
翔ちゃんは、ぐっと何かを堪える顔になった。
「だから俺のこと、抱きしめてくれたんだと思う」
俺は涙を拭った。
「ごめん、上手く説明できなくて…」
「ううん…俺のほうこそ…誤解、してた…」
「え?」
「俺も智くんと、同じ気持ちだからね?」
「…うん」
「ごめんね…智くん…俺も、嫉妬してた」
「え?」
「ニノに嫉妬してた」
「そんな…」
「わかってるんだよ?わかってるよ。あなた達の関係性は…でも…」
「翔…」
「とにかく…ごめん…ニノにもあやまらなきゃ…」
そう言って翔ちゃんは出ていこうとした。
「翔っ…!」
俺はまた翔ちゃんを抱き寄せた。
「許してくれる…?」
振り絞るように言った。
「あたりまえだよ…ごめん。智くん…」
「ごめん。酷いことして」
「ううん…嬉しかったよ…でも…」
「え?」
「しばらくえっちは無理だね」