第16章 ラズベリーscene2
「好きだよ…翔…」
翔ちゃんは動かない。
「本当に好きだよ」
俺も翔ちゃんを抱きしめる。
「好きすぎてどうしていいかわからない…」
ぎゅっと腕に力を入れる。
「好きなんだよ…どうしようもないくらい…」
また泣けてきた。
「傷つけるつもりなんてなかった…」
翔ちゃんが首を横に振る。
「どうしていいかわからなくなったんだ…」
涙が溢れて翔ちゃんの髪に降り注ぐ。
「翔が倒れたのに、俺なにもできなくて…」
翔ちゃんが顔を上げた。
「情けなくて…嫉妬までして…」
「嫉妬…?」
「松にぃに嫉妬した。翔を抱っこしたから…」
「え?」
「俺にはさせてくれないから…」
何言ってんだ俺。
こんなこと言わなくてもいいのに。
「俺の中、真っ黒で…どうしていいかわからなくなった…」
翔ちゃんがまた首を横に振る。
「でもあの時、皆、そんな俺と同じ気持ちで居てくれて…」
俺を握る手に力が入った。
「ニノは翔と付き合うきっかけくれたんだ」
「え?」
「ニノはずっと俺の相談に乗ってくれてたんだ」
「本当に?」