• テキストサイズ

カラフルⅠ【気象系BL小説】

第16章 ラズベリーscene2


松にぃの運転する車で、千葉の病院まで向かった。


幕張じゃなくて千葉になったのは、翔ちゃんが芸能人だから。


騒ぎが大きくなるから。


千葉まで行くと松にぃが帰るには、遠回りになるのに…


松にぃは無言で運転している。


「ごめん。松にぃ」


相葉ちゃんが後ろから声をかける。


「いいって。気にするな」


松にぃの褐色の腕がギアをチェンジする。


「お前らそんなシケたツラで翔の前に出るなよ?」


「うん…わかってる」


ニノが窓の外をみながら答える。


「翔がこれ以上へこまないように、ちゃんとしろよ。お前ら」


「うん…」


俺はそう答えるしかできなかった。


運転する松にぃを見てると、劣等感しか沸かなかった。


俺には到底できないことを松にぃは軽々とする。


みっともない。


嫉妬だ。


翔ちゃんを軽々と持ち上げていた。


翔ちゃんが安心して身体を預けていた。


俺にはさせてくれないのに。


わかってる。


翔ちゃんが俺にさせてくれないのは。


俺の身体を思いやってってことで。


俺を好きだから、大切にしてくれてる。


だけど。


俺の心臓にくっついた黒い塊は、どんどん大きくなっていった。

/ 1124ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp