第16章 ラズベリーscene2
ベッドの準備ができるまで、翔ちゃんはずっと松にぃに抱えられてた。
俺が傍によると、弱々しく微笑んだ。
松にぃはそんな俺達をみて、バツが悪そうな顔をしたけど、今はそんな場合じゃないのはみんなわかってた。
「大野、変わって?」
松にぃはそういうけど、今はあまり動かさないほうがいいと思った。
それに翔ちゃんが嫌がるだろうし。
「ううん。松にぃそのままお願い」
「え?」
「俺、古傷あって無理なんだ」
「ああ、そうなのか…」
その会話を聞いてた翔ちゃんは、また微笑んだ。
こんな時まで、俺を気遣うなよ…
そのうち翔ちゃんは目を閉じた。
顔色は朝見た時よりも、真っ青になってて。
そのまま頭を、松にぃの胸に凭れかけさせた。
それを見た時、俺の心臓に黒い塊がくっついたような気がした。
ベッドの準備ができて、翔ちゃんが寝かされた。
翔ちゃんは目を覚まさなかった。
「大野、とりあえずついてろよ?」
松にぃがそう言って部屋を出て行った。
そこにはあと、嵐のメンバーだけが残った。
スタッフがバタバタ動いてる。
なのに俺達は何にもできなくて。
ひたすら翔ちゃんの顔をみてることしかできなかった。