第16章 ラズベリーscene2
その時、前室の入り口で声が上がった。
目線を遣ると、そこには人だかりができてて。
短く叫ぶ声がする。
何かを呼ぶ声もする。
松にぃがすぐに立ち上がって駆けつける。
俺と相葉ちゃんはそこに居たままだった。
松にぃが人だかりをかき分けて入っていく。
何が起こったのかわからなくてずっと見てると、松にぃが誰かを抱えて前室を出て行った。
「なに?どうしたのかな」
相葉ちゃんが不安げにつぶやく。
「さぁ…よく見えなかったから…」
人だかりの中からニノが出てきた。
真っ青な顔をしていた。
「どうしたの?」
ただごとではない雰囲気に立上がる。
「あんた、今の翔さんだよ?」
「え?」
「早く!」
ニノは俺の手をひいて走りだした。
後ろから松潤と相葉ちゃんがついてくる。
翔ちゃんがどうしたって…?
頭がついていかない。
そういえば顔色が悪かった。
手も冷たかった。
でも翔ちゃんは大丈夫だって言ってた。
俺も大丈夫だと思ってた。
ニノの背中が小さく見える。
なんだか違う世界に今から行くみたいだった。