第16章 ラズベリーscene2
翔ちゃんはふっと息を吐くと、俺に頭を凭れかけてきた。
「智くんがいてくれるから、平気」
翔ちゃんはそういうと目を閉じた。
「うん…」
俺は握った手をぎゅっともう一回握った。
俺がいるだけで幸せだと、動物園で言ってくれたことは忘れない。
俺も翔ちゃんがいてくれるだけで幸せだから。
そのまま、翔ちゃんは幕張まで眠った。
楽屋に入ると、荷物をおいてそれぞれ先輩や後輩と挨拶をしにいく。
翔ちゃんは司会だから、既に他のグループの人たちとは顔を合わせている。
俺は久しぶりだった。
俺達の事務所のメドレーがあるから、リハの入り時間がほぼ皆一緒になってる。
がやがやといろんな芸能人が前室に入り乱れてる。
いや、俺も芸能人なんだけど。
うちの事務所の連中は華やかすぎて、俺、ちょっと浮いちゃうんだ。
松潤は華やか筆頭みたいなやつだから、きゃっきゃ騒いでるし。
ニノは後輩をじっくりいじめて遊んでるし。
相葉ちゃんは松にぃに犬みたいにまとわりついてるし。
そのうち、松にぃが俺のところに来た。
「おう、大野。生きてるか?」
「あ、松にぃ。おはよ」
「てめ。ございますだろ」
そう言って俺の頭をぐしゃぐしゃと撫でる。