第16章 ラズベリーscene2
突然、翔ちゃんが起き上がった。
「どうしたの?」
「だって…智くん、変なんだもん」
「え?」
「俺のこと?それとも別のこと?」
「い、いや…」
「はっきりいいなよ。俺たち…」
「え?」
「俺たち、夫婦なんだろ?」
いうなり顔を手で覆った。
かーっと顔が赤くなるのが分かった。
自分で言い出したことなのに、あの日以来、使っていない言葉だった。
奥さん…
翔ちゃんは俺の奥さんになったんだった。
「旦那さんが、なんか悩んでるのに、気にならない奥さんいないよ?」
顔を手で覆ったまま、俺の奥さんは言う。
「ごめん…」
俺は手を伸ばして、翔ちゃんの手をどけた。
「ごめんね。俺の奥さん…」
「智くん…」
「本当になんでもないんだよ?ただ、翔ちゃんに触るのを我慢してるだけだから」
「本当に?」
「うん。我慢するのがしんどいんだ」
流れで思いっきり恥ずかしいことを言ってしまった。
これじゃあ性欲の塊みたいじゃないか。
突然翔ちゃんがパジャマのボタンを外し始めた。
「えっ…ちょっと何してるの!?」
「明日オフだから」
「え?」
「だから、メチャクチャにして?」