第16章 ラズベリーscene2
午前4時前に翔ちゃんは帰ってきた。
くたくたになってたから、とりあえずお風呂に入れた。
今日も一緒にって言われたけど、俺は我慢できそうになかったから、流した。
「智くん、どうしたの?」
翔ちゃんが心配そうに言ったけど、それ以上何も言えなかった。
「とにかく、行っておいで?俺、もう入っちゃったから」
そう言って、お風呂に送り出した。
ソファに沈み込む。
こんなにしんどいものだったっけ。
一人で居ることが。
30分もすると翔ちゃんが上がってきて。
髪も乾かしてたから、すぐにベッドへ行って。
俺は腕枕をして、翔ちゃんを寝かす。
まだ身体が温かい。
ぎゅっと抱きしめて、早く眠ってくれるよう願う。
「智くん…?」
「ん…?」
「どうしたの?なんか変だよ?」
「…変じゃないよ?」
「だって…」
「いいから、寝な?」
翔ちゃんはそれでも、俺の顔を見上げる。
「智くん…?何かあった?」
そう言って俺の頬に手を置く。
「ううん。なんでもないよ?」
俺はその手を握る。
本当はいますぐ抱きたい。
抱き潰して、さっき感じた孤独を吹き飛ばしたい。
でもそんなことできない。
翔ちゃんの負担になるようなこと。