第16章 ラズベリーscene2
「ただいまー…智くん」
「あ、お帰り。翔ちゃん」
今日も0時を過ぎて帰ってきた。
俺は作品の構想をしながら、翔ちゃんの帰りを待ってた。
「ごはん食べた?智くん」
「うん。食べたよ。こんな時間だよ?」
「だって智くん、熱中すると食べないじゃん」
そういうと、翔ちゃんはほっこりと笑う。
最近、翔ちゃんの笑顔にほっこりが加わった。
幸せそうな笑顔なの。
「翔ちゃんこそ、食べたの?」
「うん。局で食べたよ」
「またお弁当?」
「うん。しょうがないよ」
そう言って上着を脱ぐ。
俺はそれを受け取ってハンガーにかける。
「疲れてる?お風呂入ってるよ」
「え、ホント?ありがとう」
「いいえ。ゆっくり入っておいで」
そういうと、作業に戻ろうとした。
服の袖が引っ張られた。
「ん?」
振り返ると、真っ赤な顔をした翔ちゃんがいた。
「い、一緒に…入ろ?」
「い、いいけど…」
「けど?」
「俺、ちょっと止まる自信がない…」
「え…?」
「最近、翔ちゃんに触ってないから、その…」
「あ…そか。えっと…イイよ?」
「え?」
「その…止まらなくてイイよ?」