第16章 ラズベリーscene2
今日も翔ちゃんは遅い。
もうすぐテレビの音楽番組の生放送がある。
それも11時間っていう長いの。
今年も翔ちゃんがメイン司会。
毎年、本当に本当に大変で。
いつも夜遅く帰ってきて、シャワーを浴びると、ベッドに倒れこむように寝る。
リハーサルとか、事前のインタビューとかでとっても神経を使ってる。
俺もできるだけ、お風呂を入れておいたり、食事を用意しておくんだけど、個展の準備が佳境で、上海にもいかなきゃいけないしで。
なかなか翔ちゃんの役に立ててない。
そんななのに、翔ちゃんは俺と話すときはいっつも笑ってて。
俺が遅い時は、起きて待っててくれて。
無理しなくていいって言ってるのに…。
一回、怒ったんだ。
夜遅くなった俺を待ってたから。
”身体壊すつもりか”って。
そしたら泣いちゃって。
『智くんの顔が一目でもみたかった』
って言うんだもん…
可愛くない!?
そんなこと言われたら…
俺、止められないよ…
俺だって、翔ちゃんと喋りたいもん。
キスしたいもん。
で、できれば…えっちも…したいし。
そんなこんなで、今、俺達は大忙しなんだ。