第15章 Coke scene1
「あっ!ニノ、やっぱり起きてた!」
俺はクッションの影でニヤリと笑う。
「寝てますー」
「てめ、こら」
翔さんがクッションを取り上げにかかる。
「きゃーやめて~!」
悪代官に襲われる町娘みたいな声を出して、相葉さんの陰ににげる。
「あっ、てめ。俺を悪者にして」
「翔ちゃん、もういいじゃん」
相葉さんが生地を混ぜながら笑う。
「うふふ。相葉さん優しいねっ」
語尾にハートマークつけてやるわ。
「ばっか。かわいいふりしたってだめだからな」
相変わらず遠慮のない…
でも、こんなじゃれあいが死ぬほど嬉しい。
久しぶりのあたたかい時間。
あの頃の俺達は、いつだってこんな時間が流れていた。
ちょっとだけ。
今はちょっとだけ、あの頃に帰らせてよ。
そのまま相葉さんの背中に頭を凭れかけさせた。
「ばーか。あまえんな」
そう言いながらも、じっと動かないでいてくれる。
翔さんはクッションを俺に戻してくれて、頭をくしゃくしゃと撫でてくれた。
そのまま優しい表情で俺の顔を覗き込む。
「ニノ、疲れた?ちょっと寝てていいよ」
「大丈夫だよ。翔さん。心配性なんだから…」