第14章 ショコラscene1
あの肌の冷たさは、今かんがえてもぞっとする。
雅紀を奪われるかもしれないと、本気で思ったから。
こんなにかわいいヤツ、手離せるわけない。
どこにも行かせない。
俺は雅紀を抱きしめる手にぎゅっと力を入れた。
「翔ちゃん…?」
「雅紀、大丈夫だよ。俺がいるから」
「…うん。頼りにしてる…。昔から」
「うん…」
「昔から、好き…」
「うん。ありがとう、雅紀」
そのまま、雅紀は眠りに落ちていった。
俺はそっと起きだして、先生に電話してみた。
早朝だったら繋がるからって言われてたから。
俺の声を聴いた先生は、できるならすぐに来てくれと言う。
いつになく慌てた様子だったから、おかしいなと思いながら雅紀とシャワーをしてお宅に伺った。
チャイムを押すと、先生と奥様が待っていてくれた。
「え?アレ?」
いつにない出迎えに、俺も雅紀も焦る。
「ま、あら」
奥様はそう言って、頬染める。
「あ、いやぁ…そういうことか…」
先生も、なんだか所在なさげで。
「あのぉ…?」
「ま、上がって下さい」
先生が先に立って歩き出した。