第14章 ショコラscene1
「あぁ…翔ちゃん…」
「雅紀、気持ちいいよ」
「ああ、俺も…気持ちいい…」
なんでもいいから、雅紀に伝えたかった。
どんだけ俺が気持ちいいのか。
「好きだよ…雅紀…」
どんだけ俺が好きなのか。
「翔ちゃんっ…あぁ…俺、またイっちゃう…」
「いいよ。イケよ」
俺は腰を打ち付ける速度を少し上げてやる。
「あぁぁっ…きもちいいっ…」
仰け反る喉元が白くて。
思わずそこに舌を這わせる。
「あっ…翔ちゃんっ…やらしい…」
雅紀の中がぐんとうねったので満足した。
そのとき、どこからか鈴の音が聞こえた。
遠くでしていた音が、すぐ近くに聞こえてくるまで時間はかからなかった。
俺は、本物さんが来たのを悟った。
雅紀は俺が振る腰に夢中になっている。
意識が乖離していく。
雅紀に重なって、長い髪の女性が視えた。
髪を振り乱して、俺の愛撫に応えている。
声は聞こえない。
そのうち、雅紀の中がぐぐっと今までない締りで。
俺ももう果てる頃。
本物さんは、髪で見えなかった顔も見せずに、雅紀の身体から離れていった。
『ぬしさん…すきでありんす』
頭のなかに声が聞こえてきた。
『ありがとうございんした』
雅紀に重なっていた影は天井へ上っていった。
『翔さま…』
同時に俺は前触れもなく、雅紀の中で果てた。
雅紀も同時に果てた。