• テキストサイズ

カラフルⅠ【気象系BL小説】

第14章 ショコラscene1


どこもみないわけにもいかなくて、浴室の壁をみてた。


「翔ちゃん…」


「んー?」


「俺、なんか憑いてるの?」


「大阪の落ち武者だろ?」


「でも…あれ、女の人だったよ?」


「え?マジで?」


とぼけも通用しているかわからない。


なにせ、俺が動揺してるのだから。


「先生、何か言ってなかった?俺が寝てる間」


「んー…何も言ってなかったかな」


「ホント…?」


そういうと、雅紀はこちらを背中越しに見てきた。


濡れた髪の間から、こちらを見る潤んだ瞳。


何かが俺の奥で動いた。


でもそれは、動いてはいけないものだとわかった。


だからあえて何か探ろうとしなかった。


「本当だよ。嘘ついてるように見える?」


「そっか…翔ちゃんは俺に嘘つかないもんね…」


少し悲しそうに笑う。


また何かが俺の中で動いて、頭がおかしくなりそうで。


だってコイツは男で。


今、本物さんがいるから色っぽく見えるだけで…


決して雅紀に、劣情を抱いてなんかいない…はず…


「俺を…信用しろよ、雅紀…」


それだけ言って湯船に潜った。


「信用してるよ…?翔ちゃん」


いつもより湿った声が浴室に響いてた。

/ 1124ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp