• テキストサイズ

カラフルⅠ【気象系BL小説】

第14章 ショコラscene1


独特の訛りと、”ぬしさん”という言葉でわかった。


これはいわゆる江戸時代の遊郭の、廓言葉で。


雅紀に憑いてる本物さんは、新町遊廓の遊女だった人だろう。


どういう経緯なのか、先生に聞いてこなかったのを悔やんだ。


「雅紀?雅紀?」


呼びかけてみるが、一向に俺に抱きつく力は変わらない。


むしろどんどん強くなってく。


ヤバイ。


背筋を冷たいものが流れた。


このまま抱き殺される。


そう思った瞬間、ふっと力が抜けて雅紀が崩れ落ちた。


「おい~…」


一気に力が抜けて、俺も床にへたり込んだ。


先生の言ってる厄介ってこれか…


恋人探しているんだ、本物さん。


「そればっかりは、無理ですよ…」


俺は雅紀の中にいる本物さんに言ってみた。


もちろん返事はなかった。



雅紀は暫くすると目を覚まして、元気に酒を飲んだ。


あまり飲ませすぎるなと先生に言われていたので、程良い所できりあげた。


風呂の準備をして、リビングに戻ると、雅紀が床に座り込んでカバンの中の物を取ろうとしてた。


その後姿にドキッとした。


座り方が女性だった。


足を折り曲げて横に投げ出して、床に片手を付いていた。


よく美人画でモデルがとっているようなポーズで。


改めてヤバイと思った。

/ 1124ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp