第14章 ショコラscene1
帰りの車中で、雅紀は少し元気になっていた。
「先生のところで少し寝たら、すっきりしたよ!」
そうゴキゲンで雅紀は言うが、顔色がやっぱり悪い。
「あー…その、雅紀。今日、俺んち泊まりにこない?」
「え?なに?いきなり」
「いやー…そう、飲まない?ちょっと」
もう時間は夕方になっていたので、雅紀を一人にしない方法はまだ決まってなかった。
事務所の連中も今日は動けないと言ってきたし、ご家族に連絡はやめることにした。
特別なことをすると、雅紀が気づいてしまうからだ。
幸い俺は明日はオフだからちょっとくらいつきあえるし。
「いいよー!飲もうか!宅飲み!」
雅紀はごきげんで言った。
ほっとした。
「じゃあ買い出し行きますか!」
そう言って、俺はハンドルを切った。
家について、飲みの準備をしてる最中、雅紀が居眠りを始めた。
床に座ってソファにもたれたまま眠っていたので、そっとタオルケットを掛けた。
大阪から帰ってから、寝てないって…
一週間、辛かっただろうな。
俺は霊感がないから、一切そんな体験ないけど、雅紀は相当辛いんだろうな。