第13章 マロンscene1
そんな顔を俺がさせてしまったと思ったら。
堪らなくなった。
俺はこの急激に湧いてきた感情をどうすることもできなくて。
和也を抱き寄せた。
「潤…?」
和也は抗うわけでもなく、俺の腕の中にいる。
「ごめん…」
「なんで…あやまるの?」
「急に抱きしめたくなった」
「…なんで?」
「わかんない」
そのまま、ずっと抱き合った。
和也が嫌がることはなかった。
「潤…?苦しいよ」
和也が身動ぎする。
俺は離したくなくて。
ぎゅっと引き寄せた。
「ごめん…和也」
「あやまらないでよ…俺、嫌じゃないよ?」
「ホント…?」
「うん…むしろ、嬉しいよ」
心臓が、早鐘のように鳴り出した。
嬉しいと、和也が気持ちを伝えてくれた。
俺も伝えなければいけないと思った。
「和也、好きだ」
それを口に出して、また和也の身体をギュッと抱きしめた。
和也の身体が震えだした。
身体を離して顔を見ると、泣いていた。
「和也?」
「お、俺も…潤くんが…」
その先は言葉にならなくて。
和也はずっと泣き続けた。
和也が泣き止むまで、俺達はずっとずっと、抱き合った。
この日から、俺達は付き合い始めることになる。