第13章 マロンscene1
結局、どういうことなのかは、後日きちんと話すからと和也が言うから、またしても追求は諦めた。
なんだかんだ言って、惚れてるやつのいうことだから、最終的には聞いてしまう。
その晩、寝ている和也の横顔を眺めながら、もやもやをどうすることもできずにいた。
俺以外のことで、できれば悩んで欲しくなんかない。
でも、和也が生きている限り、こういうことは続いていくことで。
いっその事、鳥かごにでも入れて家に置いておきたい。
でもこいつは”二宮和也”で、俺は”松本潤”で。
お互いに、お互いを独占できない状況があって。
だからこんなときくらいは、俺以外のことは考えてほしくない。
これは俺のエゴなのか、わがままなのか。
眠ってる横顔を見ながら、ずっとそんなことを考えていた。
不意に和也が目を覚ます。
「どうしたの…?潤くん」
こいつは俺のことを「潤」と呼んだり「潤くん」と呼んだりする。
まだこいつの心が安定していない証拠なのか。
「ん?別に。お前の顔みてたの」
暗くてよく表情が見えないから、たまには素直に答えてみる。
「……潤、キスして?」
和也が俺の方へ手を伸ばす。
抗えない誘惑に、俺はいとも簡単に堕ちる。
堕ちたまま帰ってきたくない気分で。