第12章 オセロscene1
「潤……これって…」
「ん?エンゲージ」
「ええ!?」
「え?マリッジのほうが良かった?」
「ぶっ…」
「今日、言ってやろうと思ってたのに、先に言いやがって…」
「え?」
真っ赤になって横を向いている。
「もしかしてこれ待ってたから3日も空いたの?」
リングの内側を見ると、『NEVER TO PART 』と刻まれている。
「これ、なんて意味?」
「絶対わかれないって意味」
そう言うと、指輪を取って左手の薬指につけてくれた。
「あ、よかった。ピッタリ」
ホッとした顔をして笑ってる。
潤の左手をみると、少しデザインが違うけど同じリングをしていた。
「潤……」
「ごめん、どっちも男のエンゲージリングなくて、雅紀が女のほうになった」
「いや、そりゃいいんだけど…エンゲージって…」
「不満?」
「や、全然。嬉しいよ」
そういうと、じっと指輪のはまった指をみる。
確かにちょっと華奢で、俺のごつい手には似合わない。
でも、指輪に刻まれた文字が潤の本心だと思うと、それだけで嬉しい。
不器用な潤らしい、愛の告白で。