第12章 オセロscene1
きっかけは、潤の家にあったエロ本だった。
あの日は、飲み屋で飲んだあとで、潤のうちになだれこんだ。
ひっそりと多分、潤としては隠そうとしていたところにあった雑誌。
隠れてなかったけど。
手錠縛りにされた女性が表紙の本だった。
中身をめくると、メジャーな縛り方が簡単に紹介されていた。
その中の1ページの角が折り曲げられていた。
蟹縛り…なんでまた?
これは両手両足を縛って、簡単に言うと四つん這いにさせる縛り方で。
潤なら、必要ないだろ。
こんな大変な作業しなくても。
不思議に思いながら雑誌を眺めてたら、潤がキッチンからビールを持ってきてくれた。
「あっ…」
ビールの缶を落とした。
「え?」
「それ見た!?」
「え、うん」
「ち、ちがうから!」
「へ?」
「俺、蟹縛りなんて興味ないから!」
真っ赤になって、思いっきり墓穴を掘った。
「へぇ~?」
「な、なんだよ」
「ほんとに?」
「いや、その本はたまたま貰ったんだ!」
雑誌はよれよれになって、相当使い込んでいる感じだった。
こんなエロ本、人にやるかよ…
「蟹縛り成功した?」
「え?」
「アレにはコツがあってさ…」
悦に入って、説明しようとしたら潤が遮った。
「雅紀…?なんで?」
「え?」
「なんで縛り方なんで知ってるの?」
「あっ!」
酒のせいか、俺も思いっきり墓穴を掘った。