第11章 アップル・グリーンscene1-2
キスが終わったら、急に恥ずかしくなったのか、相葉さんが手で顔を隠す。
くすっと笑いがこみ上げる。
「そんなに恥ずかしいの?」
自分から誘っておいて。
「だって…」
何も答えない。
とまどっているのが、手に取るようにわかる。
自分で誘っておいて、こんな反応。
ずるい。
「かわいい、相葉さん」
思わず、口をついて出る。
本当にかわいいと思ったから。
「うえっ…」
なぜか相葉さんは泣きだした。
でも今の俺には、それがセックスにつながる、香りの良いスパイスにしか思えなくて。
「泣いてるの…?」
そう優しく訊いているものの、俺の頭のなかは、相葉さんとのセックスのことしかなかった。
次から次に溢れ出す涙を、タオルで拭き取る。
この涙が止まったら、こいつを抱こう。
俺は異様な興奮のなかに居た。
やっと相葉さんが泣き止んだ。
また俺の顔をみると、手で顔を隠した。
「いつまで顔隠してんの?」
「だって…」
「キス…できないじゃん」
「えっ?」
びっくりして上げた顔。
その唇を塞いだ。
もう何も考えたくなかった。
初めて甘い口の中を味わって、俺はこいつに溺れていった。