第11章 アップル・グリーンscene1-2
俺に心配かけまいとして、大丈夫だって言う。
「ごめん…」
「あっ…ホント、気にしないで?」
「わざわざ見舞い来てくれたのに…」
「ホント、大丈夫だから」
「ごめん。なんか俺にできることある?」
本心から思った。
暗いから…
顔が見えないから…
ちょっとだけいつもより、優しくしてもいいかなって思った。
「えっ…?」
「なんでも言って?」
相葉さんは固まったまま動かない。
「じゃあ…キスして…?」
「え…?」
そう言うと、相葉さんは顔をブロックした。
俺に殴られると思って、全身に力が入ってる。
俺は心臓がうるさくて、そんなヒマなかった。
「に…ニノ…?」
相葉さんが手の間から、俺のほうを伺い見た。
「もう…しょうがないなぁ…」
ほんと、しょうがない。
だって、相葉さんからのお願いだもの。
俺は相葉さんの手をほどいて、キスをした。
「え…?」
相葉さんは目も閉じないで、びっくりしている。
「ニノ…?今、俺にキスした?」
「おまえがしてくれって言ったんだろ?」
「えっ…!?」
「えっじゃねえよ」
「ごめん…わかんなかった」
がくっと、首が前に落ちた。
「ホント、しょうがねえなぁ…」